Amazon出品の利益率を改善する方法|P/L分析から推奨施策まで解説
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Amazonで一定の売上が立つようになった一方で、「利益が残らない」「利益率が下がっている」といった課題に直面する出品者様は少なくありません。
実際にアグザルファでも、Amazon市場への参入や売上拡大をご支援するなかで、次のステップとして「利益率をどのように改善するか」というご相談を多くいただきます。
Amazon事業の利益率を改善するためには、単に広告費を削減したり、販売価格を引き上げたりするだけでは不十分です。
まずはP/Lをもとに収益構造を整理し、どの費用が利益を圧迫しているのかを把握したうえで、適切なKPIを設定し、改善施策を実行する必要があります。
本記事では、Amazon事業における利益改善をP/Lを活用した分析、KPI設定、改善に向けて推奨される3つの施策、そして利益率だけを重視する運用リスクも踏まえて、Amazon専門コンサルタントが解説します。

目次
利益率改善の分析|P/Lを整理する
利益率を改善するための分析を行う上では、一般的には損益計算書(以下、P/L:Profit and Loss Statement)を作成することから始まります。
P/Lの基本的な構成は、以下の通りです。
【P/L】
売上高
– 売上原価売上総利益 …①
– 販売費及び一般管理費営業利益 …②
+営業外収益
– 営業外費用経常利益 …③
+特別利益
– 特別損失税引前当期純利益 …④
– 法人税等当期純利益 …⑤
ただし、上記のP/Lは企業単位の経営状況を把握することを主目的とした財務諸表であるため、Amazon事業など単一事業での利益率を整理する場合は、すべての項目を見るのではなく、まずは「②営業利益」までの情報で収益性の分析を行います。
つまり、下記のいずれかが利益率における観測可能な指標となります。
- 売上高総利益率 = 売上総利益 / 売上高
- 売上高営業利益率 = 営業利益 / 売上高
なお、販売費及び一般管理費の科目には給料手当や福利厚生等の所謂人件費、広告宣伝費、通信費など商品の販売に関わる多様な科目が含まれるため、分析においてどの程度の精度を求めるかを最初に規定し、必要な勘定科目において変化を観測しましょう。
Amazon事業に当てはめた場合
例えば、Amazon事業を運用する上では、販売費及び一般管理費を「広告宣伝費」と「手数料」のみに限定することが最もシンプルです。
一方で、出品者出荷とFBA、ベンダーとセラーの変更など、出荷作業や倉庫業務の大きな差異が発生する場合には、人件費を含めて販売費及び一般管理費を確認する必要が生じます。
さて、ここからAmazonのビジネスレポート、及び企業内において観測可能な情報をP/Lにあてはめます。
【P/L】|Amazon事業における例
売上高(Amazon上の売上)
– 売上原価(商品原価)売上総利益 …①
– 販売費及び一般管理費(販売手数料、送料、FBA関連費用、広告費、ポイント、クーポン、Vine等)営業利益 …②
次項では、上記をもとにKPIを設定していきます。
利益改善に必要なKPIの設定
利益率を改善する方針は極端に語れば、最終的には先述の「売上高営業利益率」を高める動きが推奨されます。
そのため、利益率改善に取り組む際は、下記の通りに売上高営業利益率を【A】に分解すると、売上を拡大し、コストを下げるというシンプルな内容に帰結します。
売上高営業利益率 = 営業利益 / 売上高
= (売上高 – 売上原価 – 販売費及び一般管理費) / 売上高 …【A】
= {販売単価*販売数 – 商品原価*販売数 – (販売手数料、送料、FBA関連費用、広告費、ポイント、クーポン、Vine等)} / 売上高 …【B】
また、さらに細分化された【B】の式においては、細分化されたことにより各項目におけるボトルネックを特定することができますので、この時点で改善に必要なKPIを設定する準備が整いました。
代表的なKPIは下記のようなものが挙げられますが、貴社の状況に応じて適切な指標を設定することが望ましいです。
- ROI = 営業利益 ÷ 投資額(売上原価 + 販売費及び一般管理費) × 100
- tACOS = 広告費 / 売上高
- 平均販売単価 = 売上高 / 注文数
- 売上ポートフォリオ
次項では、設定したKPIの値を改善するために推奨される施策をテーマごとに解説します。
推奨される施策1 – プライシング、ポートフォリオの見直し
売上総利益 = 売上高(Amazon上の売上) – 売上原価(商品原価)
上記「売上総利益」が著しく低い場合、つまりボトルネックが商品そのものの利益率である場合は、販売価格が低く設定され、薄利多売の構造になっていることが懸念されます。
当然、競合ブランドの商品との価格競争や、多くの出品者が存在する商品におけるカート獲得に際しての価格競争については、考慮する必要はあります。
そのため、売上総利益の段階で想定の値を大きく下回るようであれば、この時点で該当の商品のAmazonでの販売を諦めるという決断も重要です。
ポートフォリオの見直しで改善した例
一方で、複数の関連商品を取り扱う企業にとっては、ポートフォリオを見直すことで商品単一ではなく、総合的な売上総利益の改善を実現したケースもあります。
例えば、企業の取り扱う商品を価格ごとにローエンド、ミドルレンジ、ハイエンドとセグメントしたとき、同じ売上高でもポートフォリオの見直しによって下記のような売上総利益の変化が見られます。
- ローエンド(500円、小容量、利益率10%)
- ミドルレンジ(1000円、標準容量、利益率20%)
- ハイエンド(2000円、大容量、利益率30%)
売上高1,000,000円のとき
■ローエンド偏重の場合
- ローエンド:40%(売上高400,000円、利益40,000円)
- ミドルレンジ:50%(売上高500,000円、利益100,000円)
- ハイエンド:10%(売上高100,000円、利益30,000円)
売上総利益:170,000円
利益率:17%
■ポートフォリオを改善した場合
- ローエンド:20%(売上高200,000円、利益20,000円)
- ミドルレンジ:60%(売上高600,000円、利益120,000円)
- ハイエンド:20%(売上高200,000円、利益60,000円)
売上総利益:200,000円
利益率:20%

このように、利益率が異なる商品が混在する場合には、貴社が意図するポートフォリオを確立できているか否かによって、利益率は大きく変化します。
利益率の高い商品群の構成比を高めることで、全体の売上総利益率を改善できるのです。
ただし、利益率の高い商品だけを販売すればよいというわけではありません。
本来、それぞれの価格帯の商品には下記のような役割が与えられているはずです。
ローエンドは、利益率を下げ、お試し価格(小容量)で新規顧客の獲得を目的とする。
ミドルレンジは、標準的な市場適合と競合のメイン商品群との競争基盤。認知及びブランディングの主軸とする。
ハイエンドは、高利益率、高品質の商品を既存のロイヤルティの高い顧客層に提供する。
このとき、先のローエンド偏重の場合には、本来ローエンドからミドルレンジに移行する客層が離脱し、LTVが低下している状態といえます。
こうしたケースでは、既存顧客へのリターゲティング広告や、バリエーション設定やAmazonストアによる関連商品の認知拡大によるアップセルの施策が推奨されます。
推奨される施策2 – プロモーションコストの低減、及びROIの改善
前項では売上総利益に対するアプローチを解説しました。
売上高営業利益率 = 営業利益 / 売上高
= (売上高 – 売上原価 – 販売費及び一般管理費) / 売上高 …A
= {販売単価*販売数 – 商品原価*販売数 – (販売手数料、送料、FBA関連費用、広告費、ポイント、クーポン、Vine等)} / 売上高 …B
本項では上記の「売上高営業利益率」の構成要素における「販売費及び一般管理費」を低減することで営業利益を残すアプローチを解説します。
冒頭での説明の通り、販売費及び一般管理費は、Amazon事業を運用する上では、販売費及び一般管理費を広告宣伝費と手数料のみに限定することが最もシンプルです。
Amazonにおいては、販売手数料、送料、FBA関連費用、広告費、ポイント、クーポン、Vine等が該当します。
そのうち、プロモーションコストの低減、及びROIの改善を目指す内容を紹介します。
間接的な値引きの精査と広告運用効率の改善
まずは、ポイントやクーポン等の間接的な値引きに関する合理性の精査が有効です。
この点は、前項のプライシングと同様に競合ブランドの商品との価格競争や、多くの出品者が存在する商品におけるカート獲得に際しての価格競争については、考慮する必要があります。
また、広告費については広告の運用効率を高めることで、ROIの向上がもたらされ、実質的な売上高営業利益率の改善につなげることができます。
このときの利益率改善を最優先とした際の広告運用における基本方針は「少ない広告費で売上高を最大化する」です。
つまり、ROAS(或いはACOS)がKPIとして設定されます。
広告の運用効率における課題のボトルネックは、アカウントによって千差万別ですので、必ずしも下記の方法において改善されるものではありませんが、いくつかROAS(或いはACOS)改善につながる調整をご紹介します。
広告効率の改善施策一例
調整の粒度の粗い順に改善施策の一例を示すと下記の通りとなります。

- キャンペーン単位の調整
ROAS(或いはACOS)の値の低いキャンペーンを停止し、効率の良いキャンペーンのみを残す。- 広告掲載商品単位の調整
ROAS(或いはACOS)の値の低い広告掲載商品を停止し、効率の良い広告掲載商品のみを残す。- キーワード単位の調整
ROAS(或いはACOS)の値の低いキーワードを停止し、効率の良いキーワードのみを残す。(除外キーワードも活用)- 入札単価の調整
ROAS(或いはACOS)の値の低いターゲットの入札単価を調整し、CPCを抑制する。
いずれも、「少ない広告費で売上高を最大化する」という方針の基に検討される施策となりますが、後述する「利益率至上主義の罠」の章でも触れる通り、広告においては、過剰な利益率(広告効率)至上主義的な運用は将来の顧客を取りこぼすリスクが併存していることに注意が必要です。
推奨される施策3 – ベンダー・セラーの見直し
前項、前々項ではそれぞれ、売上高営業利益、売上総利益に対するアプローチとして、販売価格や商品ポートフォリオ・プロモーションコストの見直しについて解説しましたが、これまでの施策はAmazonのアカウント内に留まる内容になります。
本項では大きな視点として、ベンダー・セラーの出品方式の再検討による利益率改善の可能性を探っていきます。
ベンダーとセラーの違い
まず、Amazonにおけるベンダー方式、セラー方式の違いについて整理しましょう。
ベンダーとは、Amazonへ商品を卸して、販売自体をAmazonへ委任する販売方式を指します。
なお、ベンダーとしてAmazonに出品するためには「Amazonからの招待が必須」です。
対して、セラーとは、Amazonのプラットフォームを借りてメーカーや販売業者が直接販売を行う販売方式を指します。
ベンダーは招待制であるため、初めてAmazon出品を行う場合には「セラー」で出品開始することになります。
利益率改善の視点は「利益の差」
ベンダーとセラーの各種販売方式において利益率改善に関わる視点は、以下の利益率の差です。
- 「ベンダー方式の卸値」
- 「セラー方式の販売価格」
ベンダー方式の卸値はAmazon側の指値で決定するケースが多く、自社が想定する利益率を確保しにくいケースがあります。
セラー方式と比べて自社の意向だけで価格や利益設計を調整しにくい点には留意が必要でしょう。
実際に弊社のクライアントでは、ベンダー方式からセラー方式への販売形式の切り替えを行った事例がいくつか存在します。
なお、ベンダー方式と比較してセラー方式の管理に係る工数が多いという点は注意しなければいけません。
そのため、管理に関わるコスト(人件費や外注費用等)が「ベンダー方式の卸値」と「セラー方式の販売価格」の利益率の差を超えてしまうようであれば、最終的に売上高営業利益率が低下してしまうことも想定されます。
また、その他にも販売方式の変更に伴うメリット・デメリットがあります。
弊社のブログにも詳細な説明がありますので、ご参照ください。
利益率至上主義の罠
利益率だけを重視する運用のリスクとは
さて、ここまで売上高営業利益および売上総利益にフォーカスを当て、利益率改善の考え方とKPIの確認、各KPIの数値改善において効果が期待できる施策の解説を行ってきました。
一方で、利益率至上主義に陥る罠も潜んでいることを忘れてはなりません。
利益率の改善だけを重視しすぎると、企業の持続的な成長を阻害する恐れがあるという点には注意が必要です。
例えば、プライシング・ポートフォリオの見直しの項では、ポイント付与率の低減や値上げ、売上ポートフォリオの見直しについて記載しましたが、本来のポイント付与や競争力のあるプライシングの目的は、競合ブランドとの差別化であったり、プライスリーダーへの追随であるケースが多く、長期的な業界内のポジショニングの確立における重要な構成要素の一つです。
こういった大局的なマーケティングプランに逆らって、無理な値上げを行うことは、短期的な利益率の改善につながる見込みはあるものの、長期的な成長や貴社のブランド戦略を阻害するリスクが非常に高いです。
そのため、貴社の上流のマーケティングプランに沿った範囲で実施することが重要です。
また、売上ポートフォリオの見直しやプロモーションコストの低減、およびROIの改善についても、極端な施策の実行は将来の顧客を食い潰すリスクを孕んでいます。
売上ポートフォリオと広告の関係性は大まかに下記の通りに整理することができます。

一方で、そうした利益率至上主義的な判断は、表下部の離反顧客、認知・未購入顧客、未認知顧客といった潜在的な顧客への認知拡大広告を削減することにつながり、将来の顧客の育成機会を失うリスクがあります。
利益率を高めることと、将来の売上成長に向けた投資を継続することは、必ずしも相反するものではありません。
繰り返しとなりますが、貴社の上流のマーケティングプランに沿った範囲で実施することが重要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事の内容をまとめますと、以下の通りとなります。
- 利益率を改善するための分析を行う上では、一般的には損益計算書を作成することから始まる
- 細分化された営業利益率の式において、各項目におけるボトルネックを特定することができる
- 売上総利益 = 売上高(Amazon上の売上) – 売上原価(商品原価)が著しく低い、つまりボトルネックが商品そのもの利益率である場合は、販売価格が低く設定され薄利多売の構造になっていることが懸念される
- プロモーションコストの低減、及びROIの改善は「少ない広告費で売上高を最大化する」という方針の基に検討される施策
- 販売方式において利益率改善に関わる視点は、「ベンダー方式の卸値」と「セラー方式の販売価格」の利益率の差である
- 一方で、利益率至上主義に陥ることは企業の持続的な成長を阻害する恐れがあるという点には注意が必要であり、貴社の上流のマーケティングプランに沿った範囲で実施することが重要
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https://ecnomikata.com/original_news/38560


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